石灯籠・石塔は、庭に雅びやかな風情を添え、景趣を深めます。石灯籠はもともと神仏への献燈を目的として、仏教の伝来とともに朝鮮半島より日本へ伝えられたもので、庭に据えられるようになったのは桃山時代の露地(茶庭)の様式の確立によってでした。
ここでは本来の献燈という宗教目的から離れて、晩夜の茶事の際の明かりを用とするものでした。のちに、その決して華やかすぎない灯火の風情に、また灯籠自体の幽玄なかたちに惹かれ、石灯籠は露地ばかりでなく、その他の形式の庭にも置かれるようになりました。
同様に層塔(そうとう)、宝篋印塔(ほうきょういんとう)、無縫塔(むほうとう)などの石塔類も石造美術として庭に取り入れられました。このような歴史を経て和風庭園に置かれるようになった石灯籠、また、石塔類の基礎をここではご紹介します。
石灯籠の構成
石灯籠は基本形として上部より以下の七部品から構成されます。
- 宝珠(ほうじゅ)
- 笠(かさ)
- 火袋(ひぶくろ)
- 中台(ちゅうだい)
- 竿(さお)
- 基礎(台石)(きそ(だいいし))
- 基壇(きだん)
宝珠(ほうじゅ)
石灯籠の頂上にのる葱花(そうか)状の部分をいいます。宝珠だけの物と「請花(うけばな)」(蓮弁)をともなったものがあります。
笠(かさ)
石灯籠の屋根にあたる部分。軒先に当たる部分に上巻きの「蕨手(わらびて」をつけることもあります。
火袋(ひぶくろ)
灯火を入れるところで、石灯籠のなかでもっとも重要な部分です。開口部は「火口(ひぐち)」と称します。
中台(ちゅうだい)
火袋を支える部分で、下部の基礎台石と対照的に構成されます。
竿(さお)
石灯籠全体を支える柱。竿は、円柱、角柱の二種類に分けられ、一般的に上中下三箇所に「竹節(たけふし)」「二重帯(にじゅうおび)」「珠紋帯(しゅもんおび)」などの節がついています。
基礎(台石) (きそ(だいいし))
竿を受ける台石で、地輪とも呼ばれます。上部に「反花(かえりばな)」、側面に「格狭間(こうざま)」と呼ばれる彫り物がついているものが多く見られます。織部(おりべ)型灯籠など、生込(いけこ)み型と称し、竿を直接地面に埋め込む形式のものには基礎はありません。
基壇(きだん)
基礎を支える物で、方形あるいは円形の石を用います。基礎同様、生込み型の灯籠にはありません。